重松清

世紀末の隣人 (講談社文庫)

世紀末の隣人 (講談社文庫)

 世紀末に起きた衝撃的な事件。のはずだが、今となっては「ああ、そういえばこんな事件もあったかな。」と遠い記憶になってしまった。そんなものである。苦しいこと、辛いこと、悲しいこと、衝撃的なことは時間とともに少しずつ記憶から遠ざかっていく。そして、どんどん新しい情報、事件、事故などがのっぺりと脳に上乗りしていく。
 悲しいことにそれが時間の流れ、時の流れなんだろう。忘れてはいけないこと、伝えなくてならないことはたくさんあるはずなのに。