転落

転落 (講談社文庫)

転落 (講談社文庫)

 後味が悪いのは、多分こういう汚い部分が自分にもあるからだろう。こういう汚い人が少なからず周りにいるからだろう。思い当たる人がいるからだろう。生きていればいろいろあるのだから、人の不幸は蜜の味、的なこともあるよな。そういう状況になることだってあるだろうし、そういう人から嫌悪される心情にだってなる。そうすることでしか、自分を保てなかったり、救えなかったりする。
 たいていは薄汚い部分を隠しているのだが、そんな暗くてジメッとして汚い部分を世間に表出するって勇気いることだと思う。