1ヶ月

 東日本大震災から1ヶ月経った。復旧、復興と叫ばれているなか、いまだ水道やガスも止まったままの不自由な暮らしをしている人たちもいるわけで。行方不明の家族や知人を捜している人たちもいるわけで。過酷な避難所生活をしている人たちもいるわけで。家も家族も仕事も失った人たちもいるわけで。自分の街に戻れない人たちもいるわけで。戻る場所が無い人たちもいるわけで。それでも頑張ろうって思える人もいるけど、どうやったって頑張れない人や立ち直れない人やスタート地点に立てない人もいる。頑張るには、頑張るための最低限の要素がないと頑張れないよ。ひとつになろう、とか僕たちがついている、とかは、被災者に向けられた言葉ではなく、被災地以外の人たちに向けられた言葉にしか聞こえない。被災者が欲しいのは、復興した未来でなく安定した今。がれきや泥の山を片付けたい。早く家や車を取り戻したい。以前のように、食料や燃料を確保するのに困らない日常を取り戻したい。亡くなった家族をちゃんと火葬して墓に入れてやりたい。仕事に行って給料をもらいたい。タイムマシンがあるならば、震災前に戻って、「これから地震がくるよ。津波がくるよ」ってみんなに教えてあげたい。